2011年11月24日

仙台→東松島→石巻→福島

2011年11月22〜23日、仕事関係の用事がてら、東北をあちこちまわってきました。
ほとんど自分用のメモですが(いつもそうか)、いちおう、ブログに残しておきます。

●10時半ころ 仙台駅・ホームにて
 仙石線に乗り換え、ギリギリで逃して50分待ち。バス乗り場を確認しに行って戻って、なお15分待ち。
 仙石線の乗り場は、深い。エスカレーターで、ずーっと下りる。さっきは、全然ひとけがなかった。ここも一度、津波でさらわれたのかと一瞬錯覚した。
 二度目に下りたときは、ちょうど電車が来たすぐあとだったらしく、上りエスカレーターはたくさんの人。左右にびっちりつまって、みんなわいわいと楽しそう。ホームにいると、笑い声ばかりが耳につく。
 意外な気がした。でも当たり前だ、あれから8ヶ月。みんな、ここで日々生活してるんだ。「かわいそう」な人たちを想像してた自分の無礼を思った。私がこれから行くのは、8ヶ月たった被災地だ。みんな前に向かって歩いてる。そこに行くのだ。

●12時半ころ 矢本駅・待合室にて
 仙台から松島海岸まで、ふつうの電車だった。品のよい、かわいいおばちゃんたちが、笑い合う。窓からは、青空と紅葉。
 松島海岸駅の改札で、代行バスに乗ると告げると行き先を尋ねられ、「野蒜」と答えたとき、自分を少し恥ずかしいと思った。
 バスはいっぱいだった。隣の荷物を空けない人がいたんだけど、すぐ前のおじさんは声をかけられないらしく、困った顔をしながら補助席を出した。私もならう。後ろ寄りの真ん中へんの、補助席。
 視界に入る人たちは、みな、しんとしてた。しん、と座ってた。いちばん後ろに陣取った高校生たちだけが、ずっと騒がしく、バカ笑いしてる。

 野蒜で、たぶん私は降りられないだろうと思った。みんなが生活のために乗ってるバス。途中で降りる人はほとんどいない。
 日差しがつよい。今日は寒いと予報で聞いてたので、いっぱい着てきたけど、車内は暑いくらい。カーテンを閉めるのも仕方ない。外はあまり見えなくなった。
 でも、日差しのせいだけじゃなかったかもしれない。バスの両側、日が差さないほうも、同じくらいカーテンを閉めてあった。
 キョロキョロするのは憚られたけど、すぐ前の補助席の人が、わりに遠慮なくまわりを見ていたので、少し見やすくなった。カーテンのまにまに。

 だんだんと、周りの様子が変わってきた。坂を上りきったとき、すぐ前のおじさんが、座席から伸び上がるようにして、周りを見渡した。
 野蒜の辺りは、たしかにいちばんひどかった。カーテンのすきまからでも、わかった。郵便局は、改装工事のように、空っぽになってた。窓も入口もない。真っ白い、コンクリートのいれものだけが残ってる。コンビニも民家も、見たことのない様子になってた。
 ここに住んでいた人は、見るのも辛いだろう。
 これほど何もないところに、降りる用事のある人なんて、いるわけがない。ここで降りるのは、人として無理。
 ずっとキョロキョロしてた前のおじさんが、うつむいた。黙祷だろうか。
 みんな、しんとしてた。後ろの高校生たちを除いて。

 高校生たちのバカ笑いは、この辺りがいちばんだったろうか。街の風景が落ち着くにつれ、静かになった。バスのなかに立ち込める、重苦しい空気がいやだったのか、それとも、ただ終点が近づいて疲れてきたのか。

 終点の矢本駅で降りた。バスを降りるとき、乗り越し清算を尋ねたら「そのままお進みください」と、きちんと答えてくれたので、少し救われた気持ちになった。
 すぐ電車に乗る気になれず、少し歩いた。何もないようで、ぱらぱらと店がある。天気がよい。静かな田舎町の秋。踏切を渡ったところにスーパーがみえた。引き返して駅に戻った。

 改札を入ると、電車も、人も、何もなかった。がらんと、ただホームがあった。
 向こうにいた駅員さんが歩いてきて、「石巻に行くんだった?」と声をかけてくれた。次は一時間待ちだという。ここは寒いから、待合室で待ってて、とすすめてくれた。
 最後に「今日はほんとに、寒いねぇ」と笑いながら加えてくれた。いたわられた、気がした。被災地見物にきたような私なんかを。なんに見えたんだろう。被災者の遺族や知り合いと思ったんだろうか。

 待合室にいる。仙台駅で買った、さつまいもとカスタードのパンを食べた。自販機で買ったコーンポタージュといっしょに。そして、これを書いた。携帯で。


●午後、石巻へ
 石巻駅のまわりは、静かだった。平日の13時過ぎ、ひとけが少ない。「復興」とか「がんばれ」の文字が目につくわりに、盛り上がってない。
 すぐ目の前にある、黒羽山にのぼってみた。ものすごい長い、長い階段。神社をすこしおまいり。公園には、高校生のカップルがいた。
 町をみおろしても、ここから建物の被害はみえない。ただ、川の向こうの崖が、えらい高さまで、えぐられてるのはわかった。
 山を下りようとしたら、向こう側は、延々とお墓だった。おまいりに来てる人がいた。手前にはおじいさん、向こうには、私と似たような年代の女の人。
 川に向かって歩いた。取り壊し中の建物が、あちこちにある。改装が終わって、すっかりきれいになった店もちらほらある。
 工事の人以外、ほとんど見かけない。あとはボランティアで、シャッターをペンキで塗ってる人たちを、2か所で見かけたくらい。
 川に近づいていくと、1階部分が壊滅した建物が、たくさんあった。どんどん気が引けてきた。こんなところまで見に来て、歩き回って。取り壊しの現場にいる、交通整理のおじさんと目があうのさえ、気が引けた。
 すだれみたいになったシャッターを、あちこちで見かけた。上だけとまってて、下がヨレヨレになって垂れ下がってる。
 途中、おばあさんとすれちがったとき、舌打ちをされた。気がした。
 私がここに住んでる人だったら、見物に来られたくなんかない。大好きだった町が、ぼろぼろになった姿を、見ず知らずの人間なんかに。ごめんなさい、ごめんなさい。
 駅に戻ったとき、ほっとした。

 自分の「見たい」という欲望。どうしても自分で見ておきたかった。でもそれなんぼのもんよ? でも見ないで、無関係のこととして終わらせるのもやだった。でも見たからって、同じじゃないのか。
 私はこれから、会う人に「どうだった?」とか聞かれて、こんなだったよ、と話したり、ブログに書いたりして、「終わり」にするのだろうか。
 何も話さない、書き残さないほうがいいのか。でもそれも、違う気がする。
 当事者以外は何も発言すべきでない、とも思わない。
 当事者じゃない私が、見たり感じたりしたこととして、残しておこうと思う。何の意味があるのかは、わからない。

 私がみたのは、ほんのほんのいちぶだ。これが、三県またがって、どれほどの大きさだったのか。まるっきり想像しきれない。


●夕方、石巻から仙台へ
 石巻からバスで仙台へ。着く直前、仙台に住むう友人からメール。
 「被災地みて、おちこんでない?」
 おちこんでない。ひたすら考え続けてるけど、落ち込んではいない。むしろ、仙台駅ビルに流れるクリスマスソングのほうが、よほど落ち込ませる。
 被災地をみて落ち込まない自分は、おかしいだろうか。どうして、被災地をみて、落ち込むんだろうか。


●さらに、仙台から福島へ
 長時間バスに乗るのは、この日3度目。朝早くから、新幹線や電車も乗ったし。身体がカチカチで、足は重だるくて、早く宿に「帰り」たかった。くつろいで、のんびりして、パソコン開いたり、おさけ飲んだりしたい。
 その「帰る」場所が、たまたま福島。みんな、こんな感じなんだろうな。
 そこに住み続ける選択をした人たちは、全力で尊重されたい。けど、でも一方で、避難したい人はできるように、しっかりお金が出るようにしなきゃいけないとも思う。そこに住む選択をした人たちをサポートすることが、国や自治体や東電の金の出し惜しみをサポートすることになるのは困る。
 お金の問題で、避難したくてもできない人は、実際どれくらいいるのだろう。そういう声はあがらないのかな。集団疎開を求める人もいるようだけど、出たい人だけサポートされればいいんじゃないかと私は思ってる。それだと、声がまとまりにくいんだろうか。

 被災地をまわってるあいだあいだも、個人的なことがらについても、よく考えてた。あっち考えたり、こっち考えたりしてた。
 福島に宿をとることで、ここに住むということの意味を考えられるかなと思ったんだけど、バスのなかからもう、個人的なことばかり考えてた。一週間前に自分がしたこと、いま自分がどうすべきなのか。そんなことばかり。
 ここに住む人たちも、こんな感じなんだろうなと思った。線量のことばかり考えて生きてられない。自分の毎日の生活を考えるだけでも、精一杯だ。


<つぶやかなかったつぶやき>
●行きの新幹線●
・昔だったらスケジュールなんか立てないで適当にまわったけど、いまは老親に子どもの面倒見させて時間と金使って出てきてんだから、みっちり入れるよそりゃ
・向こうで大地震に遭って電車止まったらヒッチハイクでなるべく早く帰るわ、と母にいったら当然のこととして流された
・どうやら隣はずっと空席でうれしい

●石巻から仙台に戻ったとき?●
・どこに行っても、高校生が目につく。テスト期間中なのか?小さい子はみない。全くみない。
・歩いている間中、私がここにこういう目的でいることは許されることなのか、見たいと思う自分の欲望について考えてた
・ずんだロール、前半は天にのぼる心地で食べてたけど、後半は向かいのラーメン屋に飛び込みたくてたまらず。ギブミーしょっぱいのとビール。ひとまず移動だ、今日三度目のバスにのる
posted by れ at 13:56| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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